第6話

 『第6話』 作:イグザさん



男たちの気配が薄れる

どうやら一度外に出てこちらの様子を見に来るようだ

冷静になれ

鍵はかけてある

そしてその唯一の鍵は俺が持っている

考えている間もなく例の男たちがやってくる

どうやら部屋の前まで来たようだ

しかし、残念だな。ここの鍵は俺が持っている

だが落ち着いていられる状況でもない

マエルを救わなければならない

でなければ・・・

・・・

めちゃくちゃ不便ジャン?

・・・

それは置いておいて冒険者たるもの

栄光を手にすることは誰もが夢に思うことだろう

今、マエルを救えるのは俺しかいない

そう考えていた瞬間男たちの声が聞こえた

「・・・まさか生きていや・・・」

声は小さく聞き取りにくい

分厚い扉が声を遮っている

だがなんと言った?生きている?

そんなことを知っているとはまさかヤツらがマエルを?

考えを他所に外の男たちは話を続ける

聞き逃すまいと耳を傾ける

「なに、生きているならば止めを刺すまでだ」

「しかし、鍵はヤツしか持っていないのだろ?」

チャリンという音と同時に男の発言が嫌でも耳に入ってきた

「鍵なら、あるんだぜ?複製は俺の分野なのさ」

なんだって?ヤツらも鍵を持っている?

しかも複製だと。そんなスキル聞いたことがない

時間がない

ガチン

っと鍵の外れる音が部屋に響く

重たい扉が軋みを上げて開く

次の瞬間男たちの目が俺と合う

もはやこれまでか

・・・

覚悟を決め目を閉じた

いくら待っても攻撃はない

更には声すらも聞こえないまったくの無音

いや、グォングォンと低くうなる音だけがする

目を開くと自分の周りには魔方陣が浮かんでいる

移動呪文だ

先ほどのポーションで息を吹き返したのかマエルが片手を上げたまま何かを唱えていた

驚いている男たちを尻目に呪文は展開されていく

もはや外界との接続はなくなり男たちはなす術なかった

次の瞬間俺たちはとある森の中にいた。

「ここは・・・どこだ?」

見たこともない未開の地のようだ

こんなところで駆け出しの俺に何ができるだろうか

まだ見ぬ新マップ

恐怖と不安、先ほどの男たちへの疑念が膨らんでゆく

男たちの顔は覚えている

なんとかこの真相を解き明かさねば

しかし、今はここから生きて帰ることが先決だ

マエルに問いかける

「ここはどこなんだ、なぜこんな場所に飛んだ!?」

途切れ途切れの小さい声でマエルが言う

ここは・・・ワシの里・・・

* * To be continued * *


© Rakuten Group, Inc.